この時期になるとお風呂に入りたいなあとつくづく思う。
が、残念なことに私の住まいにはシャワーしかない。
たまには湯船につかり、その日一日あったことをゆっくりと反芻したいものだと思う。
ホテルに宿泊する機会がある時には、ここぞとばかりにたっぷりとお湯を溜め、思う存分にその風呂を堪能しようと試みるけれど、日本の風呂とあまりにも違うアメリカの湯船の浅さには風呂に浸かった瞬間に愕然とさせられる。
細長く浅いアメリカの風呂に浸かるにはコツがいるのだ。
まずはザブンと風呂の中央ほどに座り、そこから足を延ばす。足が風呂の壁に付かないなら足をずりずりと壁際まで這わせていき、同時に上体も平らになるように倒していく。
その時に頭がうまく風呂の淵に引っかかるところまで倒して、淵を枕代わりにして横になる。できるだけ体を湯から出ないように沈める。
しかし全部きれいに湯の中に沈められるなんてことは決してない。
何せ頭を風呂の淵にひっかけているわけだから、おのずと上半身が下半身よりも高い位置になり、そして首から肩にかけては空気に触れることになる。
とても寒い。
風呂のお湯が波立つとあちらこちらの体のパーツがプカプカと水面に顔を出す。膝だったりお腹だったり。。
それはそれでまた寒い。
しばらくすると追い炊き機能がないアメリカの風呂は、湯の温度が徐々に下がってくる。すると上になっている体の前面が背面に比べて寒くなってくる。
そこで前面を温めようと、無理にうつ伏せの状態になってみる。すると、浮力が働いて今度はお尻がプカプカと浮き上がってくる。
非常に寒い。。
こんな具合で、アメリカのあの浅いバスタブにゆっくり入ろうなんて夢のまた夢。そもそもアメリカのバスタブは体を洗うためのものであり、温まるための日本の風呂とはコンセプトがまるで違うのだから。
そんなこんなでこの時期になると日本のお風呂がことさらに恋しくなってくる。
今日、シャワーを浴び、シャワーのブースから出るとハワイの風がヒューっと吹き抜けた。気化熱で一気に体が冷え、ぶるぶると震える。
ハワイの暖かさに慣れ切って、寒さに無防備なこの身にはこの季節のシャワーはことさら難儀だ。私のような苦労をしている人もハワイには多いんではないかなぁ。