ソーシャルセキュリティの受給権利がある方は、既に受け取っている方、これから受け取る方を含め、日本でどのように受け取るのがベストなのでしょうか?
今回は、日本でのベストと思えるソーシャルセキュリティ受給の方法を考察してみたいと思います。
現在、私はまだソーシャルセキュリティは受け取っていません。しかしながら帰国後、どのように受給するのか考慮した上で、帰国までに少しずつハワイの口座を整理していこうと思っています。
受給方法の種類
一般的な受給方法は以下の通りです。
- Electronic Payments (Direct Deposit、もしくはWire Transfer(電信送金))
- 小切手
- Direct Express Card(プリペイドデビットカード)
まず日本で受給する場合、何が可能で何が不可能かを考えなければいけません。あくまでも完全帰国後に日本在住者としてソーシャルセキュリティを受給する場合をシュミレーションしていますので、米国居住で通常どおりに年金受給する場合は、特に以下のことを考える必要はないでしょう。
小切手での受給
まず日本で適さない受給方法、それは小切手での受給でしょう。
以前は小切手で受給をした場合、日本の銀行で小切手を換金することができました。しかし、現在はほぼどの銀行も海外銀行振出の小切手の換金を行っていません。
日本帰国後、ソーシャルセキュリティを小切手で受け取り、それを換金することは現実的ではありません。
仮に小切手の換金を受け付けてくれたとしても、受け付けていた頃の手数料が大体4,000円前後でしたから、非常に高い!
ただそれでもごく一部で換金を行ってくれる日本の銀行もあるようですので、一応ご自身のメインバンクにご確認いただくのも良いかもしれません。(私が把握している小切手換金可能な日本の銀行は現在一行のみです。)
小切手で受け取った後、日本の銀行では換金できないため米国銀行口座にモバイルバンキングで小切手の写真を撮り、そのまま入金する手段をとるということでしたらそれは可能でしょう。
しかしながら、これは米国の口座に直接入金する(Direct Deposit)のと同じ結果となりますので、このような2度手間をすることに意味がありません。
Direct Express Card
この受給方法に関しては、実際にこの方法で受給されている方にお話を聞いたことがないので情報不足な感が否めません。申し訳ありません。
Social Security Administrationのサイトで確認すると、Direct Express Cardはプリペイドのデビットカードになりますので、毎月決まった日にソーシャルセキュリティがカードに振り込まれます。
通常、カードの利用にはほとんど手数料はかかりませんが、日本在住者に関連する利用手数料は以下のものが記載されています。
Service | Fee |
International ATM cash withdrawal (ATMでの引き出し)— currency conversion fee (3%) will be added | $3 plus 3% for each withdrawal |
International transaction outside U.S. (米国外でのカード利用)— currency conversion fee (3%) will be added | 3% for each transaction |
このカードはDebit Master Cardとありますので、米国外でもマスターカード利用可能なお店ではショッピングが可能と考えます。
このカードが日本に郵送してもらえるかとの疑問がありますが、小切手が可能なのですから可能でしょう。
Electric Payments(Direct Deposit、または電信送金)
この受給方法は、シンプルに米国の銀行口座に直接入金(Direct Deposit)してもらう、もしくは日本の銀行口座に電信送金(Wire Transfer)をしてもらう方法です。
米国銀行口座へのダイレクトデポジット設定・変更は、My Social Securityで可能です。My Social Securityの記事でご案内した方法で、ご自身のアカウントを登録してください。
米国銀行へのダイレクトデポジットは手数料無料です。
一方、日本の銀行へ電信送金をしてもらう場合は、ソーシャルセキュリティから電信送金手数料がマイナスされた金額で入金されます。SSA(Social Security Administration)の電信送金手数料がいくらかは把握していませんが、電信送金手数料は通常安くはありません。
ただし、米国銀行口座を解約してしまった方には国際送金をしてくれるだけでもありがたいことでしょう。(以前は日本の銀行口座へ電信送金するという選択肢はありませんでしたが、現在はForm SSA-1199-JAを利用して申し込めるようです。参考:SSAホームページ)
為替の影響
小切手は既に選択から排除したので、ここで述べることは止めておきます。
Direct Express Cardの場合
カード会社が採用するレートは、カード使用日の為替レートというわけではありません。決済処理された処理日のレートが適応となり、そのレートは不明瞭です。またその為替レートにも幾分かのカード会社手数料が含まれることになります。さらに、上記の3%の手数料が加わることになります。
Direct Depositの場合
米国銀行口座にドル入金したとしても日本円で利用する際には日本円に交換することになり、為替はその都度、大いに関係してきます。例えば、口座を保有している銀行のデビットカードを利用し日本のATMで現金引き出し、もしくはショッピングでデビットカード利用したとしましょう。その際は、銀行のデビットカード国際取引手数料に加えて、デビットカードについている国際ブランド(VisaやMaster等)の交換レートを適応することになります。(この辺りは複雑になりますので、ご興味のある方はご自身でお勉強されてください。)
Wire Transferの場合
SSAは毎月一定の日にソーシャルセキュリティの送金手続きをしますので、為替レートの良い時をピンポイントで選ぶことはできません。また電信送金手続きは銀行を通して行われますので、通常為替レートは良いものではありません。
私が考えるベストな受給方法
現状、私は次のステップでソーシャルセキュリティを受け取るのが良いのではないかと考えています。が、その前に米国銀行口座を解約しないこと!を大前提とさせていただきます。
米国銀行口座を解約しないでどうするのか?
- ソーシャルセキュリティ受け取り口座に米国口座を設定し、まずはドルで受給する。
- できるだけ為替レートの良い時に、できるだけまとめてWISEで国際送金手続きをする。
ハワイの銀行では、現在、プライベートバンキング等のハイバリューな顧客以外、本人がハワイの支店窓口に出向いて直接送金手続きをしない限り、電信送金手続きはできません。(プライベートバンキングでもリモートでの送金手続きを許可しない銀行もあります。)
しかしながら、WISEという各国で認可登録されている送金事業者を利用すれば簡単にオンラインで米国の銀行口座から日本の口座へ送金手続きをすることができるのです。
そして為替レートはほぼマーケットと同じで同様のタイミングで使用されています。送金手数料も必要最低限と言えるでしょう。
この送金手続きで一つだけ注意すべきことがあります。それは10,000ドル以上の送金をしないと言うことです。10,000ドル以上になると送金自体が電信送金でないと取り扱えなくなり、良いレートで為替を固定できるものの、手数料は10,000ドル以下の送金と比べて割高となり、また自身で銀行の窓口に出向き電信送金手続きを行う必要がでてきてしまいます。
私は日本での物件購入がきっかけで、初めてWISEを知ることになりました。そして、マーケットレートに近い為替レートと送金手数料の低さに驚愕しました。
登録手続きなど少しハードルが高い面もありますが、ぜひ皆さんにも利用して頂きたいと思います。とにかく銀行のレートは悪すぎます。。(マーケットレートと比較して、大体2円程度の差があります。)
次回またWISEの登録方法をステップを踏んで、ブログにアップしたいと思います。